戦前ブルースなんか特に盲目のブルースマンが多い。
有名なブラインド・レモン・ジェファーソンを始めブラインド・ボーイフラーだのブラインド・ウィリーだの。
時代背景や人種・職業差別も関係しているが、これはまた別のお話。

ま、少しだけ。
日本に置き換えると按摩（あんま）さんや琵琶法師みたいなものか。
レコードに録音する時代ではもうちょっとポップなことだったかもしれない。
辻説法みたく、路上で薬の宣伝販売して生計を立てたりしていたそうだから。

それにしても、よく演奏しながら歌うという器用なことが出来るものだ、と尊敬してしまう。
道案内まで出来る盲目のブルースマンの逸話もライナーノーツで読んだことがある。
「違う、バカにするな、この先二つ目の信号を左だ！」
みたいな話だった。

現実はきっとこんなもの。
助手席のブラインド⚪︎⚪︎氏に車の運転手がこういった。
運転手 「ここ右ですか？」
ブラインド⚪︎⚪︎氏 「違う、バカにするな、この先二つ目の信号を左だ！」
運転手 「ああ、佐村河内さんの家の角を左ですね。」

尊敬しつつも若干斜交（はすか）いに構えて考えてみる。
どうにも我々は、例えば盲目と聞くと何故か全盲だと思ってしまう節がある。
さらには先天的な人もいれば後天的な人もいる。
今も昔も、事実に盲目的なのは五体満足な人の方かもしれない。