南アフリカW杯の決勝はオランダ対スペイン。
ご存知の通りスペインが初優勝を飾った。
しかし試合内容としては少し波乱のある決勝戦だった。
オランダが、理想としている華麗な攻撃的サッカーを捨てたのだ。

オランダのサッカーといえばトータルフットボール。
つまらない守備的サッカーをして１−０で勝つよりも、
華麗なサッカーをして敗けるほうを美徳とする。
３点取られても４点取り返せばいいという攻撃するサッカー。
天才と呼ばれたヨハン・クライフが提唱して伝統的なスタイルとなった。

しかし、決勝でのオランダ代表は違った。
スペインに勝つ為に綺麗なサッカーを捨てた。
攻撃的なスペイン代表に対して、堅守し、したたかなファールを連発したのだ。
今大会のオランダはヨハン・クライフのコメントをも批判し、
「勝たなければ意味が無い」とスタイルを捨て開き直った。

一方、観客が望む攻撃的なパスサッカーで優勝したスペイン。
このスタイルをスペインに持ち込んだのは、実はヨハン・クライフその人である。
クライフがFCバルセロナに移籍してきたことで、
それまで凡庸だったスペインのサッカー界に現在のスタイルを植え付けたのだ。

皮肉にも親が子に敗けてしまう結果となった訳である。