「あの娘としっぽり…」なんて聞くとガハハなオヤジを想像してしまう。
とても淫靡（いんび）で猥雑な印象。
ガハハ、まぁええやないか、ワシとこれからホテルでしっぽりと…みたいな。

その昔、大阪と言えばエロな文化圏だった。
今や大師匠である笑福亭仁鶴ですら、エロ仁鶴の異名で活躍していたほど。
鶴光も三枝もやすきよも山城新伍も少なからずガハハでエロだ。
とにかくスケベーしてナンボな厚顔無恥オヤジの解放区は関西だった。

しっぽりを辞書で引くと、「しめやかなさま」とある。
つまり「ひっそりとして、もの静か」なのだ。
これをホテルで実行するというのなら、ちっとも猥雑な感じがしない。

「全体が静かにぬれるさま」ともある。
例えば春雨に「しっぽり」とぬれたりするなんて、叙景的で素敵じゃないか。
これをホテルで実行するというのなら、ミストサウナを利用するしかない。

「男女の愛情がこまやかで、むつまじいさま」という意味が適切だろう。
これをホテルで実行するというのなら、むしろガハハなオヤジとは程遠い。
そう、程遠いからこそ、そのスケベーさを強調していたのだ。

考えれば、割と僕は「しっぽり」とした恋愛をしてきた。
もちろん元々のニュアンスの「しっぽり」の方で。
落ち着いていて一定の湿度を保った、潤いのある仲のいい情愛。
あぁ、いつかまたあの娘とホテルでしっぽりとしたいものだなぁ…。
がははっ。