父親は大きい。
いや、顔面のことではない。
男にとって男親の存在は大きい。

人間臭い父親である。
いや、多汗症ではない。
もう今や加齢臭だろう。

母親を女性として考え難いのと似ていて、
父親を一人の男として評価するには時間がかかる。
親が自分を産んだ年齢に近づいてみて解ることって多い。

結婚して子供を産まないと、血の繋がりが途絶えて、生物としては孤独になってしまう。
頭では理解していたつもりだったけれども、もう感覚的に分るようになった気がする。
きっと人生において、この感覚って大事なんだろう。

長い間、僕は父親の周りの人達を意識的に避けてきた部分があるので、
社会の中に置かれた「一人の男」として、父親をどこまで象（かたど）れているかは自信がない。
それに別の個体だから、どこまでいっても理解なんて大それたことは不可能なのだろうし…。

でも、まぁ、これだけは言える。
僕の母親が惚れたのだから、きっといい男に違いない。
顔は手塚治虫に似ている。