あまり喋らない人っている。
悪気はないけれど無口な人。
こちらとしても沈黙が苦にならない。
ただ、第三者から見ると仲が悪いみたいに思われる。

ほとんど喋らない人っている。
悪気はないけれども無言の人。
無口な人の場合は「うん」などと返事が出来たりする。
これが無言の人になると「うん」とも「すん」とも言わない。
黙って頷（うなず）くだけ。

無言の人とは電話が難しい。
顔の表情が見えないと、ただの空白でしかないからだ。
しかし慣れてくると、普通に空白の意味が分かるようになる。
「どこか遊びに行く？」
「・・・・・・。」
「じゃ明日の7時に。」
「・・・・・・。」
「そっか、それじゃ8時にしよう。」
「・・・・・・。」
「ばいば〜い！」
「・・・・・・。」
ま、多少の誇張はあっても嘘はない。

返事をしない中華料理店を知っている。
注文した料理が出て来て初めて、（よかった、聞こえてたんだ！）となる。
そんな店主だから、中には激怒する客もいる。
ただ、そのカウンターだけの小さな店の中華料理は、めちゃくちゃに美味しい。
なので一口食べると、怒鳴っていた客も言葉を無くしてしまう…のだそうだ。

この世に無言の人は実在する。