僕には“食べもの運”がないのかもしれない。
機嫌良くお店に入ろうとして、
「すみません、満席なんです。」
と断られる事がよくある。

何人かで食事に行く。
僕の注文したものだけ、売り切れていたりする。
もしくは、
「すみません、夏場だけなんです。」
と、数あるメニューの中から、ピンポイントで無いものを選んでしまう。
さらには、
「それ以外なら全部出来るんですが…。」
と、常套句のように余計な事を言われる。

友達と同じ物を注文する。
これだと自分だけが外すということはない。
なのに、
「すみません、あと一人前しか作れないんです。」
と、友達も軽く巻き込んでしまうことになったりする。

お昼時に、友達と同じく日替わりランチを注文する。
これだとまさか一人前しか作れないということはない。
しばらくして、
「お待たせしました、日替わりランチです。」
と、よく見ると僕のランチの皿にだけ、付け合わせのサラダがのっていなかった…。
やはり、僕には“食べもの運”がないのかもしれない。

ここでコラムを終えてもよいのだけれども、実はまだ続きがある。
思い切って店員さんに言ってみたのだ。
「あ〜っ！どうもすみませんでした。」
と、すぐにキャベツと人参の千切りをトングで掴んでお皿に盛ってくれた。

謝罪の言葉と迅速な対応が何とも嬉しい。
もうそれで十分だ。
「いやいやっ、ポテトサラダがまだ足らんがな〜っ！」
なんて僕には言えない。