世の中には膨大な数の作品達が存在している。
なので収集するのを止（や）めた。
所有するより、レンタルでも何でも多くの作品に触れることを選んだ。
コレクターの友達が何人かいればいいかな、なんて思う。

19才の時、ジャズのCDやアナログレコードを聴きたいが為に、ほとんど売ってしまった。
気に入った音楽なら海賊版まで集めていたし、好きな漫画も全巻揃えるタイプだったんだけれども…。
人生であと何回聴くかも読み返すかも分からない物を所有しなくなって、とても楽になった。
要はツボを押さえて所有すれば良いのだから。

どうしているかといえば、好きな物だけを所有している。
ま、嫌いな物を持っている人はあまりいないだろうから、当然なんだけれども。
誰でも知ってて、すぐに手に入るような物はもうあまり持っていない。
それでも、CDだけで2000枚以上は手元にあるし、アナログも入れると結構な枚数ではある。
現存する音楽のうち、一生で聴ける曲数なんて本当に少しだけということだ。

『天才バカボン』の1巻だけを持っている。
「モシモシ早くうまれておいでね！」という話が好きだからだ。
『ドラえもん』の6巻だけを持っている。
「さよならドラえもん」という話が好きだからだ。

先日、赤塚不二夫さんが他界された。
バカボンのパパに、これでいいのだ！と言わせた漫画家である。
「落語とは業の肯定である」と立川談志さんは言った。
人間の業を認める、自らを悪と認識して考える。
きっと仏教のそれなんだけれども…。
偉いお坊さんじゃなく、これを“バカの天才”に言わせた赤塚不二夫さんは凄い。