高校2年生の時、クラスの学級委員を決める選挙があった。
ま、学級委員なんて誰もなりたくはないだろう。
特に僕の高校なんて、生徒も先生も覇気がなかったからな。
中途半端な偏差値の公立高校というのはそんなもの。

こういう時に女子ってやつは妙な結束をしたがる。
美男美女カップルのK君とTちゃんを学級委員にしよう、なんて考える。
当時は100％、“恋に恋する乙女な理由”だと思っていたのだけれども…。
今考えると、軽いイジメなんだろうなぁ。
どの年代でも、やはり女は怖い。

男子は男子で妙な盛り上がりを期待する。
通称“おっさん”と呼ばれるY田と、不細工で有名なW本さんをプッシュする。
これは100％、面白がっているだけである。
今考えても、ただの悪ふざけに過ぎない。
どの年代でも、やはり男は幼い。

で、投票の結果である。
うちのクラスは男子より女子の人数の方が多い。
なので当然、カップル学級委員が誕生すると誰もが思っていた。
誰もがそう思っていたんだけれども、波乱が起こった。

なんとＹ田とTちゃんが学級委員に選ばれたのだ。
“おっさん”Y田と“美女”Tちゃん。
幼い男子達には意味不明、想定範囲外なのである。
もう一度、言っておこう。
うちのクラスは男子より女子の人数の方が多い。
おっ、女は怖い…。

そして騒然とする教室の片隅で、小さくガッツポーズしたY田を、僕は見逃さなかった。