あるバイトを友人の代わりに行ったことがある。
聞けばその内容の多くは草むしりやビラの配布だという。
すぐにでも出来そうなので引き受けた。
行ってみて分かったのだけれども、こういうのを「何でも屋」と呼ぶらしい。
当然の様に草むしりのつもりで待機していた事務所に、突然こんな電話がかかってきた。

おばさん：「今すぐ来て！」
何でも屋の先輩：「どういった内容ですか？」
おばさん：「と、とにかく今すぐ来てぇ！」
何でも屋の先輩：「何なんですか？！」
おばさん：「来てくれたら分かるから〜！！」

こんな電話でも急行するのが、「何でも屋」なのだ。
僕は、ずいぶん話が違うなぁと思いながらも、車に乗せられて現場へ。
待ち構えていた電話のおばさんに案内され、家の奥の庭に連れて行かれる。
庭の縁側を指差して、

おばさん：「こっちこっち！」
何でも屋の先輩：「どこですか？」
おばさん「ここやんか、縁の下を覗いてみて！」
何でも屋の先輩：「お。」
僕：「わ〜っ！！！」

なんとその家の縁の下で、何処から入ったのだろうか、大きな野良犬が行き倒れになっていた。
まったく世の中には色んな仕事があるものである。
僕は先輩と、まさに犬死にですねぇ、などと言いながらその犬の死体を引っ張り出し、車に積んだ。
そしてこれが「何でも屋」での最初で最後の初仕事となった。