僕は一人でお茶を飲んでいた。
隣の席には、僕より後に入って来た女の子。
彼女も一人。
テーブルにお茶とデザートが並ぶ。
と、女の子はおもむろに手を合わせて、小さく「いただきます」をした。
僕の心の中で、ピンッと音が鳴った。

こういう所作が琴線に触れる。
恋心が芽生えるかどうかは別として、かなり好感が持てる。
それも徐々にではなくって、一気にメーターがマックスまで振り切る様な感じで。
もし10項目くらい悪い面があっても、帳消しに出来るかもしれない。
だって、別に誰もいないのに「いただきます」なのである。
もうピンッなのだ。

女性誌やフリーペーパーの男心理解度チェック的な物が面白い。
心理学の先生とかが正解の言動を教唆してくれる類のアレである。
もちろん、面白いというのは逆説的な意味で。
男からみると「そんなポイントで良い女性かどうかなんて判断しない」ことばかりだからだ。
で、自分でやってみると全然ダメで、0点ばかりという。

男の僕が答えて0点ならば、このシチュエーションと回答っていったい何なんだろう。
そもそも合コンとかイケメンっていう言葉遣いが信用ならない。
合コンなんて不自然な環境を疑問もなく受け入れてどうするのか。
間違っても喜々としていうことじゃない。
それに男にすればイケメンなんて形容は「あなた空虚だわ」と言われているようなものだからな。
この手の軽い企画を否定はしないけれど、恋愛は繊細な感情だから使用するフレーズには気を使って頂きたいものだ。

若いということはそれだけで素晴らしい。
これは男よりも女性に対して、より当てはまる。
総じて男という生き物は肌年齢の若い女性の方が好い。
もし中身が同じだったならば、若い女性の方が何というか居心地が好い。
なので、女性から若さを引いたときに残るもの、それが本当の女性としての価値だと思う。

時として、僕は女性から若さを引いてみる。
彼女達から若さを引いて残るもの。
それが行儀だったり知識や教養だったりすると、心の琴線に触れる。
働く女性の場合は分かりやすい。
つまり男なんて尊敬させてしまえばイチコロなんである。
結婚を考えた真面目な恋愛対象なら尚更だろう。
だから合コンは欲しい情報から遠い感じがして、男心を語るには薄っぺらさが否めない。

優しい、は実は曖昧な感覚なので、僕の中ではあまり評価は高くない。
恋愛感情があれば優しく出来るのは当たり前だから。
鬼子母神みたく、その反対側に居る人には厳しかったりすることもあり得るし。
とりたてて特に利害の無い瞬間に、行儀や道徳が垣間見れるとその人の優しさを感じる。
そのほうが全方位的な優しさが分かり易い。

容姿はまったく関係ない。
若さを引いて考えている時点で問題外だ。
ただの美人よりも、ヘチャな女の子やブーちゃんの方が、清潔感があって本当にお洒落だったりするものだ。
どんなに綺麗な女性でも、靴を揃えなかったり、ポイ捨てしたりすると、かえって醜く見えてくる。
お箸の使い方が下手なくらいなら可愛く見えるから不思議だけれども。

なんとまぁ勝手なことばかり書いてしまった。
近しい女性陣に訴えられるかもしれないな。
まさか名誉毀損なんてことになって、金銭に触れなければよいのだけれども。