小学1年生の時。
バナナを温めて食べる国があることを知った。
僕はバナナを生で食べることしか知らなかったので、どんな味がするのか気になった。
3年生になった頃に、思い立って遂に実行に移した。
バナナの皮を剥いて、魚焼き器で焼いたのだ。

すぐに母親が飛んできて、もったいないことをするな、と怒鳴った。
どこの世界にバナナを焼く奴がいるか、というのである。
僕が自慢げに、
「バナナをな、焼いて食べる国があんねんで。」
というと、
「そんな珍しい国は無い。あってもそれはもっと貧しい国の話や。」
などと、とんでもない説明をされた記憶がある。

大学生になって、TVでバナナに火を通している地域の映像を見た。
タイの屋台だったと思う。
いや、インドネシアだったかも知れない。
やはり気になって、広くアジアについて勉強している友達に尋ねてみた。
「詳しくは知らないけれど、フィリピンにバナナのフライはあるよ。」
フィリピンではバナナが芋みたいな感覚なんだそうだ。
甘い果物としてのバナナだけじゃなくって野菜としてのバナナ。
色んな種類があるらしい。

アメリカン・ドッグ風に揚げられたバナナフライ。
子供が学校の帰りに買い食いするような手軽なものらしい。
そう考えれば、洋菓子ではバナナケーキやバナナのクラフティーといった火を通したものがある。
じゃぁバナナを温めるなんて、普通じゃないか。
っていうか、魚焼き器でバナナを焼いたのが珍しいんだろうな。