よく、道を尋ねられる。
何故だろう。
人が良さそうに見えるのだろうか？
もしくは、ヒマそうに見えるのだろうか？

大阪じゃなくっても、尋ねられる。
渋谷でも、何回かある。
そんな時に大阪弁で答えると、お互いに気まずい。
石垣島で尋ねられた時には、さすがに驚いてしまったけれども。
どう見ても地元の人には見えないだろうに。

「地図を読めない女、話を聞かない男」という本が数年前に話題になった。
男女それぞれの傾向を言い得て妙なのだけれども、
これは身体的な性別を越えた意味でのジェンダーになりえる。
僕の周りに、こんな女性がいる。
彼女、地図が読めないのは有名だったけれども。
最近では、“何故地図が読めないのか？”という話題になると貝になる。
遂にもう、人の話も聞かなくなってしまった。
彼女は、「地図を読めない女、話を聞かない女」なんだ。

「池田の猪買い」という落語の中で、
池田（大阪の地名）に向かう道を尋ねるくだりがある。
ヒマな人に道を尋ねると、丁寧に説明してくれる筈だが、
それでは時間がかかり、少々辛気（しんき）臭いので、
こういうのは急いでる人に尋ねるほうが、迅速に教えてくれるだろう、と考える。

この発想、いかにも落語らしくって、確かに一理ある。
じゃ、僕はヒマそうなんじゃなくって、忙しそうなのか？

ちなみに僕は、地図を読めて、話を聞く男、である。