ソフトクリームは美味しい。
ソフトクリームは冷たいから。
ソフトクリームを食べたい。
ま、勝手に食べればいいんだけれども。

ソフトクリームには帽子がある。
もちろん普段は被っていない。
持ち帰りする時とかに、付いてくる。
ま、帽子というか、蓋（ふた）なんだけれども。

下町育ちなら知っているかもしれない。
お店が近くにないと、ソフトクリームは持ち帰れないからなぁ。
商店街のお好み焼き屋さんは、ソフトクリームを売っている。
少なくとも僕が子供の頃は、それが普通だった。
“ひやしあめ”とか“アイスコーヒー”、冬場には“鯛焼き”とか。

袋に入れるために、帽子を被せる。
コーンの上のソフトクリームの渦巻きの部分に被せる。
ソフトクリームは上下セットのジャージを着ているみたいになる。
なんか、それがとっても“いとおしい”感じなんだ。
今考えると、帽子の素材はコーンじゃなく、最中（もなか）の皮だったかもしれない。

大人がまとめ買いするときには、帽子が付く。
子供が一個だけ買うときには、帽子が付かない。
店のおばちゃんに頼むと、何故か怒られる。
「持ち帰りだけ。子供はいらんねん。」
理不尽にも程があるのだけれど、昔の子供の扱いなんて、こんな感じだった。

最近は、ソフトクリームの帽子って見かけないなぁ。
今度実家に帰ったら、ジョー山中のように聞いてみよう。
「母さん、僕のソフトクリームの帽子、何処へ行ったんでしょうね。」と。
（元ネタは、“人間の証明”ですから…。）