雨が好きだ。
どんよりと曇った空も好き。
歩いていて、肩口あたりに、ポツ、と。
アスファルトの湿ってくる感じ、たまらない。

性格が暗いんじゃないの？なんて言われる。
迷わずに、ええ…ネクラですから、と答える。
動じずに、ネクラだ、と公言するあたりが痛々しい、らしい。
心配御無用、前向きにネクラですから。

外は結構な雨で、僕は家の中、というのが嬉しい。
もちろん、雨の被害が無い、そんな程度で…。
ひょっとすると、布団の中みたいなもの、かもしれない。
シェルター的な感覚が好きなのだ。
少なくとも、最近までは、そう思っていた。

雨音（あまおと）という言葉がある。
雨の降る音、それは、雨の音楽。
“Rain Notes（レイン・ノーツ）”と訳したい。
ポツポツ、ピタパタ、雨が奏でる音符達。
とてもメロディアスだ。

きっと、僕は、雨の音楽に包まれている感じ、が好きだったのだ。
セロニアス・モンクのピアノを好きな理由とも近い。
彼のピアノの演奏って、雨音みたい、と形容されているから…。

“Rhythm Of The Rain”という曲がある。
1963年に大ヒットした、「悲しき雨音」という邦題の曲だ。
こちらは雨のリズムを雨音と、意訳したもの。
イントロが印象的で素敵な名作だ。

「悲しき雨音」を歌っていたのは、カスケーズというグループ。
Jason AR-8号という軍艦に乗船していた海兵隊員で結成された。
その船は、長崎の佐世保にも来たことがあるらしい。
そんなこんなで「長崎は今日も雨だった」のか？