皆さんは世界三大料理というのをご存知だろうか？
馬鹿にしてくれるな、と言われるのを承知で少し知ったかぶりさせてもらいたい。
それはフランス料理、中華料理、そしてトルコ料理のことである。

フレンチ・中華はともかく、トルコ料理とは僕にしてみればかなり意外な結論だ。
街を歩いていても、トルコ料理専門店というものをあまり見かけないからだ。
というわけで僕に限らず、日本では馴染みが薄いジャンルの筈だろう。
しかもフランス料理がイタリア料理やスペイン料理に取って代わられる事はあっても、
中華料理とトルコ料理は不動の地位だという。
ちなみに我等が日本料理は、生魚を包丁で切ったりするだけのイメージが強いらしく、
料理の世界ではあまり上位には入ってないらしい。

店構えが‘昔ながら’という感じの洋食屋さんに入ったりすると、
まれにそのメニューの中に、トルコライスとかギリシャという品目を見かけることがある。
何を持ってトルコやギリシャなのかはよく解らないけれども、
ケチャップライスの上に、カツがのっていたり、ソースがかかっていたりする一品だ。

トルコという国は、アジアとヨーロッパの文化を繋ぐ位置にある国なのだから、
食文化に関しても、高度に成熟していて当然、なんら不思議はない。
どうも僕は勝手な先入観からアジアの出発点とかって思い込んでいんだけれども、
サッカーのW杯予選では、トルコはヨーロッパのグループ・リーグに組み込まれている。
すなわちヨーロッパの出発点でもあるのは一目瞭然、特別な意味を持った国のひとつである。

数年前に、知り合いの雑誌編集者の方に、トルコ料理を食べに連れて行ってもらったことがある。
もちろん洋食屋のトルコライスではない、ホンマもんのトルコのライスなのである。
専門店らしくコースで食べさせてもらったのだけれど、これが美味しい！
日本人の口には何の問題もなく合うし、プチ旅行気分である。
具体的にどういう味だったかというと、それはあまり覚えていない（スミマセン）。
その後でクラブに遊びに行って、泥酔して踊りまくったので記憶があまりないのだ。
まったく柄にもないことをすると大抵こうなる。
とにかく美味しかったのでまた行きたい。
なんか小学生みたいな感想しか書けないな。
ただ、具体的な記憶は少ないけれど、素敵な印象は残っている。
なんとトルコ人のシェフが、食後のコーヒーで占いをしてくれたのだ。

食後の占いというのも珍しければ、コーヒー占いというのも珍しい。
トルココーヒーというのは、細かく挽いた豆を直接カップの底に沈めている。
つまり、一気に飲むと、ドロドロの豆の部分も一緒に飲んでしまうことになる。
なので少し残しておいて終了という。
ドロドロが残ったカップに受け皿でふたをしてひっくり返す。
その受け皿についたコーヒー豆のカタチで占うのだ。

しばらくしてからカップをとると、受け皿には絵のようにカタチが出来ていた。
「ナカイサン、アナタ、ロマンチスト、デスネ。」
ううむ、ロマンチストとは照れくさいやら恥ずかしいやら…。
以前に、ハンバーガーを一口食べたら捨てそうとか、
お風呂嫌いそう、とかって言われたことはあるけれど。
（っていうか僕は他人にどんな印象を与えているのだろうか）

とはいえロマンチストなのだ。
トルコ料理のコーヒー占いといえば、中井優はロマンチストなのである。
僕には何のカタチかよく解らないのだけれど、シェフには絵が見えるらしい。
‘月明かりに照らされた一人の女性を、僕が下から見つめている’というのだ。
その女性が僕にとって近いのか遠いのかは分からない、ただ訳あって見つめている、のだそうだ。
う〜っ、ロマンチスト〜！！

その他にも色々と言われたのだけれど、ここでは内緒にしておく。
何故って？
それは僕がロマンチストだから…。（笑）


おまけ：すっかり気分をよくした僕は、前述のとうり、その後さらに酔っ払うんだけれども、
今になって考えると、受け皿にこびり付いたコーヒー豆のカタチを見て、
‘月明りに〜’などと言える人の方がよっぽどロマンチストではないか、と思う。
まったく商売上手なトルコ料理なのである。